[ ふなばしアンデルセン公園 ]昆虫たちの小さなドラマ 「ヒグラシ」vs「セミヤドリガ」・ 「カブトムシ」vs「カナブン (3種) 」vs「タテハチョウ(4種)」

ふなばしアンデルセン公園]に「太陽の池」と名付けられた池があり、その周囲には遊歩道が設けられ、季節の花を観賞しながら散策が出来るようになっています。元の自然林も残されていて、樹木の枝葉が繁り、日中でも薄暗い一画があります。
8月上旬、「ヒグラシ」の鳴く同公園内の遊歩道を散策中、自然界の小さなドラマに遭遇しました。掲載写真は薄暗い林の中で撮影しましたので、カメラの機能上シャッタースピードが遅いため、少々ブレてしまいました。


「ヒグラシ」VS「セミヤドリガ」
「ヒグラシ」の写真を撮ろうと思い、撮影に適当な個体を見つけたのですが、薄暗い林の中でも白い粉がふいているような模様がはっきりと目に付きました。「セミヤドリガ」の幼虫が寄生しているのです。蝉の幼虫は地中で7年、子孫をつくるために地上に出て成虫になり、僅か2週間の命を燃やし尽くします。しかし、自然は過酷です。生あるうちに蛾に卵を産み付けられ、時々僅かに体を震わし、生き地獄の運命を嘆いているかのようでした。


※こちらは正常な個体



※これより下は「ヒグラシ」VS「セミヤドリガ」とは別のドラマです。
ルリタテハ
薄暗い林の中を黒っぽい蝶が飛んでいました。姿や飛び方から「ルリタテハ」らしいと見当をつけ、見失わないよう目を凝らして見ていると、遊歩道沿い土盛りの裏側に立つ樹木の幹に止まりました。木漏れ日のスポットライトに浮び上がった「ルリタテハ」に誘われて、土盛りの上に登っていきました。


「カブトムシ」vs「カナブン」・「クロカナブン」vs「ルリタテハ
ルリタテハ」が隣の「コナラ」の根元に舞降りたので目をやると、何んと幹の周りは甲虫類のオンパレードです。「カブトムシ」が一匹、「カナブン」が数十匹、「ルリタテハ」の目的は樹液だったのです。主役は「カブトムシ」、一番よい場所を独り占めにして他の昆虫を寄せ付けません。「ルリタテハ」は仲間に加えてもらえず、諦めて飛んで行ってしまいました。


「カブトムシ」vs「カナブン」・「クロカナブン
もう一つ驚いたことは、「コナラ」の根元に多数の甲虫類の死骸が散らばり、「カブトムシ」が二匹、「カナブン」が十数匹、中にはまだ生きていて腹を上にもがいているものもあり、「カブトムシ」などは腹を切断されて弱々しく足だけを動かしていました。いったい何があったのでしょうか?、食事場をめぐる争いでしょうか?。さすがに、死骸だらけの写真撮影は躊躇してしまいましたねぇ。


「カナブン」・「クロカナブン」・「アオカナブン
「カナブン」同士で仲良く食事をしているように見えますが、やはり場所取り合戦を演じていました。「クワガタ」それに「オオスズメバチ」は見られませんでしたが、もし、この2種の昆虫が「コナラ樹液ステージ」に参加していたら、オールスターズ勢揃い、どのようなドラマが演じられたことでしょうね。


※これより下の記事は、後日に同じ場所へ再度訪れた時の場景です。
「カナブン」vs「ルリタテハ」・「コムラサキ
先日の主役「カブトムシ」は見られず、脇役の「カナブン」族も6〜7匹しか居ませんでしたが、「ルリタテハ」のほかに、思いがけず「コムラサキ」の雌が「コナラ」の幹に止まって樹液を吸っていました。この蝶は、この辺りでは出会うことができないだろうと思い込んでいましたので、驚き、感動をしながら写真を撮りましたが、雄ならもっとよかったのに‥‥少々残念!。此処では蝶同士もライバルです。「ルリタテハ」・「コムラサキ」ともお互いに翅をはためかせて、優位を確保しようと自己アピールを繰り返していました。


「カナブン」・「アオカナブン」vs「コムラサキ
コムラサキ」は「ルリタテハ」と同様「タテハチョウ科」の仲間で、国蝶「オオムラサキ」の弟分のような蝶です。雄の翅は神秘的な深い紫色にカラフルな斑紋を散りばめ、「オオムラサキ」に勝るとも劣らずの美しさです。この個体は雌ですが、翅をはためかせて「カナブン」族と渡り合っていました。


コムラサキ」vs「サトキマダラヒカゲ
コムラサキ」が「カナブン」と食事場の駆け引きをしているとき、突然同じぐらいの大きさの蝶が飛んできて、唐突に「コムラサキ」の鼻先に止まりました。薄暗い場所なので直ぐには分からなかったのですが、ひっとしたら「コムラサキ」の雄では!?‥‥と、期待したのですが「サトキマダラヒカゲ」でした。「コムラサキ」は盛んに翅をはためかせて威嚇していましたが、効果?があったらしく「サトキマダラヒカゲ」はあっさりと退散し、飛び去って行きました。「サトキマダラヒカゲ」はこのような時でも翅表は見せません。まったく頑固おやじ?の見本のような蝶ですねぇ。

※「サトキマダラヒカゲ


クロカナブン」vs「ゴマダラチョウ
ゴマダラチョウ」もやって来ました。この蝶も「タテハチョウ科」の仲間です。この種族はいずれも「クヌギ」や「コナラ」の樹液を好むので、「カブトムシ」を親分とする甲虫類、「オオスズメバチ」を頭目とする蜂類など、危険な昆虫と鉢合わせをします。どう見ても蝶には攻撃する武器は皆無で、せいぜい翅を広げて体を大きくし、威嚇してみせるのが精一杯なのです。それでも生きるために体を張って戦っているようで、ガンバレッ!、と、応援したくなりますねぇ。


[ 参 考 写 真 ]
※「コムラサキのオス
同じ日に別の緑地公園で「クヌギ」の幹に止まり、樹液を吸っているところを撮影しました。光線の条件があまり良くないので、美しい紫色が十分に出ていませんがね。この日は幸運つづきで猛暑も何のその‥‥でしたぁ。
成虫の開帳幅(翅を広げた寸法)は6cm前後、活動時期は5〜8月、「クヌギ」や「コナラ」などの樹液を吸う。幼虫の食草は「ヤナギ」。
この蝶は福岡県の絶滅危惧種に指定されています。


※「オオヒラタシデムシ」は死骸の代表的な掃除屋
先日見た甲虫類の死骸は、殆どきれいに処理されていました。自然界ではこれらの「ゴミムシ」族が生き物の死体を食べ、きれいに掃除をします。あまり気持ちの良い話ではありませんが、この虫たちがいてくれないと、死体だらけになってしまいますねぇ。
成虫の体長は23mm前後、活動時期は春から秋にかけて。