“ ぶらり自然観察人 ”  成田西陵高校の [ 研修農場・蝶の生態館 ] (パート2)

《 蝶の生態館(その2) 》
昨日(6月25日)の続き記事です。

ツマベニチョウ
沖縄諸島の他、九州南部の一地方でしか見られない、「シロチョウ」の仲間です。開帳幅は9cm前後、この仲間の中では最大級で、飛翔力が優れおり、速く、高く、飛べるそうです。幼虫の食草は「ギョボク」です。
※ オス


※ メス?


※ ツガイ


※ 幼虫
蛇の目のような文様がありますが、身を守るための擬態でしょうね。



ツマムラサキマダラ
沖縄諸島に生息する「タテハチョウ」の仲間です。「リュウキュウアサギマダラ」に似ていますが、雄の前翅の濃青紫色が美しいですね。この蝶は、元は迷蝶と云われ、台風などにより台湾方面から吹き飛ばされてきたものが、沖縄諸島に居付いたのだそうです。幼虫の食草も「リュウキュウアサギマダラ」と同じ「ツルモウリンカ」など、です。
※ オス


※ メス


※ 蛹


※ 羽化直前の蛹



「カバタテハ」
沖縄の八重山諸島に生息する「タテハチョウ」の仲間です。幼虫の食草は「ヒマ」と云われています。雄・雌ともに同じ色模様をしています。卵を孕んだ個体は雌だと分かりますが、普通の状態の個体は、なか、なか、性別を識別することは困難です。この蝶も、元は迷蝶と云われ、台風などにより台湾方面から吹き飛ばされてきたものが、八重山諸島に居付いたのだそうです。


※ オス?


※ メス?


※ 蛹


※ 幼虫



ナガサキアゲハ
この蝶も南方系ですが、地球温暖化に伴い北上し、関東地方にも生息するようになりました。開帳幅90〜120cmの「アゲハチョウ」の仲間です。幼虫の食草は「ミカン」や「カラタチ」です。
※ オス

※ 参考写真:メス
この “ 生態館 ” に1匹いましたが、なか、なか、写真を撮らせてくれませんでしたので、昨年の初夏に船橋北部で撮影した個体を添付しました。


オオムラサキ
云わずと知れた、国蝶と云えば聞こえは良いのですが、国蝶に指定されても何の保証も無い、環境省レッドリストの準絶滅危惧種でもあります。開帳幅は8〜10cmにもおよび、沖縄を除いた本土では、「タテハチョウ」の仲間の中で最大の蝶です。幼虫の食草は「エノキ」などの葉です。
美しい色模様で人を魅了し、飼育する愛好者や組織も多く、自然を「オオムラサキ」で飾りたい人もあります。しかし、放蝶は元々その地域に生息していたかどうかを確かめてから、行うべきだと考えます。人意で自然の生態系を変えることは、人間が生きる為の必要最小限にしたいものです。
※ オス


※ メス


※ ツガイ


※ 蛹


※ 幼虫


※ 卵



ギフチョウ
国指定天然記念物、環境省リッドリストの絶滅危惧種、人間の都合で「オオムラサキ」と国蝶の地位を争った蝶でもあります。「アゲハチョウ」の仲間で、開帳幅は55cm前後の美しい蝶です。幼虫の食草は、希少植物の「カンアオイ」や「フタバアオイ」などです。それらの植物は山野草愛好家の標的にもなっていて、元々、少ない植物ですから、趣味で採り尽くされては、天然記念物も滅びてしまいます。
この “ 生態館 ” では、「ギフチョウ」も飼育していましたが、今春に異変がおこりました。殆どの蛹が成虫にならず、死んでしまったそうです。地域ボランティアの人の話では、原因が分からない、との事でした。飼育箱の中には、十数匹の蛹と、2〜3匹の成虫の死骸がありました。何か哀れになり、成虫の死骸の1匹をくださいとお願いし、清水先生から収納ケースまで付けて頂きました。その「ギフチョウ」は、今、我が家の仏壇脇で眠っています。