“ ぶらり自然観察人 ”  北総の里山  春から夏へ! (パート3)

今日は、町の南側一帯の里山へ散策に出かけました。この辺りは “ 本佐倉城跡 ” に近く、歴史的に由緒のある神社や寺院が、今も現存しており、廃寺も数ヶ所あります。以前から不思議に思っていることは、神社の廃社は、まず、聞いたことがありませんが、寺院の廃寺は多数あります。それぞれ、色々な要因があると思いますが、主にその時代の政治権力者の政策や、庇護者(スポンサー)の衰亡に関わることが多いようです。


《 野生植物 》

「イボタノキ(水蝋の木)」の花
林縁に生える落葉低木です。「イボタガ」の幼虫「イボタロウムシ」の食草で、樹皮に寄生して出来た “ 水蝋(イボタロウ) ” は、止血剤に使われています。
「イボタガ」の成虫は、4〜5月ごろ発生し、独特の模様のある翅を持ち、開帳幅10cmにもなる大きな蛾です。一度見てみたいと思い探しているのですが、残念ながら、今のところ見つかっておりません。


※参考写真:晩秋の頃、黒色の果実を着けます。



エゴノキ」の花
山地の雑木林などに生える落葉高木ですが、私は高木にまで育ったものを見たことがありません。別名「チシャノキ」と称し、長い花柄の先に白い清楚な花を鈴なりに着けます。果実は10mmほどで緑白色、果皮は麻酔効果のある成分を含んでいて、昔は、すり潰して魚捕りに利用したそうです。使い方は分かりませんが‥‥。



「ホタルブクロ(蛍袋)」の花
山野に生える多年草です。名前の由来には色々な説があるようです。花色は白から紫まで様々です。これからの里山が楽しみです。この仲間に「ヤマホタルブクロ(山蛍袋)」がありますが、「ホタルブクロ」より標高の高い山地に分布します。


※参考写真:「ヤマホタルブクロ(山蛍袋)」  昨年の夏、富山県の山間で撮影しました。顎片に相違があります。



カラスビシャク(烏柄杓)」の仏炎苞
畑や田圃の畦や土手に生える多年草で、「ハンゲ属」の仲間です。仏炎苞の中に雌雄の花があり、長い糸状の付属体を伸ばします。
地中の球茎は、漢方薬の「半夏(ハンゲ)」と呼ばれ、吐き気止め等に使われます。



「クレソン(豆弁菜)」の花
ヨーロッパ原産の多年草です。別名「オランダガラシ和蘭芥子)」とも云われ、野菜として輸入されましたが、繁殖力が強く、今では各地で野生化しています。日当たりの良い、綺麗な水の流れる水辺に繁殖します。
薬用としては、咳・食欲不振に薬効があります。



《 園芸植物 》

「キーウィ」の花
中国原産の蔓性落葉樹です。「シナサルナシ」をニュージランドで品種改良したものだそうです。果実は「キーウィフルーツ」と云われ、お馴染みの果物ですが、花は初めて見ました。



ハコネウツギ(箱根空木)」の花
主に日当たりの良い海岸近くに生える落葉低木です。箱根地方には自生していないので、どうして、このような名が付いたかは定かではないのですが、庭木としても彼方此方に植えられ、人気のある樹木です。民家の庭にありましたので、園芸品種の中に入れました。
房総にも多く自生していますが、この辺りでは野生のものは見当たりません。民家の庭で立派な花を咲かせていました。



「キバナヤマオダマキ(黄花山苧環)?」の花
山地の林縁などに生える多年草です。苧環とは、紡いだ麻糸を巻く道具です。「ヤマオダマキ(山苧環)」にしては、距と呼ばれている角状の突起が小さいのが気になりますが、茎や花は、この仲間の特徴が良く現れています。
農家の庭に生えていましたので、園芸品種の中に入れました。


※参考写真:「ミヤマオダマキ(深山苧環)?」
園芸品種の「オダマキ苧環)」は、「ミヤマオダマキ」の改良品種です。「ミヤマオダマキ」は高山に分布しています。私が始めて自生種に出会ったのは、一昔前に訪れた、 “ 松尾芭蕉 ” の句で有名な、山形県の山寺(立石寺)境内でした。自然の中で見た、鮮やかな青と白の美しい花は忘れられません。
今は、改良品種と外来種が多数出回っていて、訳が分からなくなっていますが、この写真のものは最近出会った中で、一番「ミヤマオダマキ」の特徴があるように見えるのです‥‥?。何れにしても、野生種ではないでしょうね。



《 野 鳥 》

コジュケイ(小綬鶏)」
中国南部地方に分布する「キジ(雉)」の仲間で、前世紀初頭頃に狩猟用として放鳥されました。太平洋側の積雪の少ない地方一帯の、平地から山地の雑木林などで自然繁殖をしているようです。
農家の周りで採餌しているところに出会いました。私の直ぐ傍の木陰から、突然2羽の鳥が走り出たので、びっくり仰天しているうちに、農道を一目散に走り去ります。気を取り直して撮影を始めましたが、遠ざかる被写体はピント合わせが難しい、繁みに逃げ込む前に、やっと数枚の写真が撮れました。それにしても、飛べる筈なのに走って逃げるとは!。
最初は「ウズラ」だと思ったのですが、一回り大きく羽模様が違うようなので、図鑑を調べました。首の周りが赤いことなどから、「コジュケイ」だと特定しました。そして、里山の散策中によく聞く “ チョットコイ、チョットコイ ” 、と、云う鳴き声が、同鳥のものだと、初めて知った次第です。



サシバ(差羽・鶆鳩)」
低山から丘陵の林に棲む、「カラス」より一回り小さい「タカ」の仲間です。この辺りの里山には、数組の番(ツガイ)が生息し、営巣しているところを見かけました。ここでは、家族と思われる、3羽が飛び交っていましたが、1羽は一回り小さく、今春に生まれた子どものようです。両親が周りを警戒しながら、子どもの飛行訓練をしているようでした。



《 昆 虫 》

「ハグロトンボ」
※オス


※メス



ヒカゲチョウ(ナミヒカゲ)」



「コジャノメ」



「ヒメウラナミジャノメ」



「ウメスカシクロバ」



「クロムネアオハバチ」



「ツマジロクロハバチ」



「オオクロハバチ」



「クロベッコウハナアブ



「ミヤマキンバエ」



「マルガタゴミムシ」



「ヤマトシリアゲ」
※メス