“ ぶらり自然観察人 ”  北総の里山へ!  (パート6)

S町に来て、一番に訪れたのが町の東側に面するでした。今回は脚を伸ばして、もっと奥まで散策してみました。この里山の東側は、T市に接しています。いずれ、そちら方面の散策もしたいと考えています。


里山風景
田植え作業真っ最中の頃の写真です。今は田植えも終わり、これからは青々とした田圃に変わります。


駒形神社
S町の里山にも、このような小さい神社(私はミニチュア神社と呼んでいます)が各所にあります。前居住地にも彼方此方にありました。いつの頃からこのような社が創られて来たかは、定かではありませんが、北総一帯(千葉県北部・茨城県南部)は、同じ文化圏だったと想像されるので、各部落の鎮守として造られてきたのかも知れませんね。いずれも、優れた木造建築技術を駆使して造られています。


野 仏
里山集落の切り立った崖の上に、2体の石仏が並んで祀られていました。近寄って良く見たかったのですが、登れそうもありませんので、望遠レンズを使って撮影しました。
元からこの場所にあったとは考えにくいので、何処かから移転されたのではないでしょうか?。文字が刻まれているようなので、それぞれの写真を拡大してみましたが、風化により摩滅しているので殆ど読めません。
倒れないように番線で縛られているお姿は、少し痛々しく感じますね。


向かって左側の像は、上部の真ん中に “ 大日??? ” 、その右側に “ 享保十四? ” と書かれているように見えます。像形と文字から想像を逞しくして、 “ 大日如来 ” の坐像ではないかと考えました。ただ、頭頂の盛り上がりが宝冠にしては小さ過ぎ、手は印相ではなく合掌のように見えます。 “ 如来 ” は、仏の世界では最高位、衆生救済の為の印を結びますが、合掌して何かを拝むことはないはずです。
しかし、建立されたのが “ 享保十四(年) ” ならば、江戸時代中期に当たり、この時代頃になると庶民信仰も加わり、色々な仏の像形が組み合わさります。


向かって右側の像は、側面に文字が彫ってありますが読めません。彫刻技術から判断すると、左の像より後に造られたものではないでしょうか?。像形からは何の仏か分かりかねますが、上部の梵字は “ カーン ” と彫られているようなので、“ 不動明王 ” ではないでしょうか?。
不動明王 ” は腕2本というのが正規なのですが、この像は6本もあります。それでも、右手の1本には “ 剣? ” を、左手の1本には “ けん索 ” と呼ばれる縄を持っています。仏の世界では “ 大日如来 ” の部下のような立場ですし‥‥。お顔の表情が優し過ぎて、気になりますけどね。
追加記事:後日(5月30日)に別の場所で類似の石像に出会いました。多分これは庚申塔で、彫ってある像は “ 青面金剛 ” 、梵字の “ カーン ” が彫ってあり、神の使い “ 三猿 ” と “ 邪鬼 ” が無いようなので特定し難いですが‥‥。 “ 青面金剛 ” は仏の世界では正規のものでは無く、江戸時代初頭前後ごろに “ 不動明王 ”や “ 執金剛 ” を基にして、諸神像の姿が合体し、創造された民間信仰の神像なのです。


< 昆 虫 >

「アサヒナカワトンボ」
今日も、太陽光を浴びた雌に出会いました。金色に輝き、いっそう美しく見えます。飛んで行くまで見惚れていました。この「トンボ」は直射日光の当たる暑い場所を嫌うようです。
※メス



コアオハナムグリ
コガネムシ」の仲間です。



「ルリチュウレンジ」
「ハチ」の仲間です。太陽光を浴びると、瑠璃色に光ります。



「ヒメハナバチ?」



「シロオビハリバエ?」



< 野生希少植物 >

「ミヤマナルコユリ(深山鳴子百合)」の花
山地の林縁など生える多年草です。同じような環境に生える「ナルコユリ」の仲間ですが、葉は短く、縁が縮れたように波うっています。花も小さく、たくさん着かないようです。
初めてこの植物に出会いました。北総地帯には少ないようなので、希少植物の中に加えました。



「キリ(桐)」の花
高さが15mにもなる落葉高木です。古い時代に中国から渡来したとも云われていますが、野生状態のものも多く、定かではないそうです。材質が優れているので、家具などの材料として、昔から各地で栽培されてきました。
写真のものは、1本だけポツンとありましたので、自生種だと思われます。木材としては良く知られていても、花を近くで見る機会は、あまり無いのでは‥‥?。自生種は少ないので、希少植物の中に加えました。



< その他の植物 >

「キツネアザミ(狐薊)」の花
道端などに生える2年草です。花も色も「アザミ」にそっくりですが、葉に棘が無く別の種類に属します。狐に騙されたような気持ちにさせられるので、この名が付きました。



コバンソウ小判草)」の花
ヨーロッパ原産の1年草です。花穂が小判型をしているので、この名が付きました。観賞用として渡来したようですが、酒々井では至るところに野生化しています。