“ ぶらり自然観察人 ”  北総の里山へ!  (パート5)

五月晴れの空の下、今日はS町南東側の里山を、初めて散策しました。新緑の緑が眩しく、フィトンチッドの森林浴、身も、心も、洗われる気分です。農家では田植えの真っ最中でした。
私の自然観察は、日本中が自然豊かな頃には、何処にでも見られた植物や生物が、どの程度残っているかの調査でもあります。同じ種類のものであっても、発見した年と場所が違えば、環境保全の記録にもなるので、記事にするようにしています。それと、発見した場所は、保護のために具体的には記載しないようにもしています。


[某地区の里山


若い人が一生懸命に農作物を作る姿を見ると、何故かホッとした気持ちになります。私も農家の出だからでしょうかね?。


湧き水と「カワニナ
この地区にも各所に湧き水がありました。土地の人が大切にしているのでしょう、シシオドシが快い音を響かせていました。やはり、小さな溝には「カワニナ」が生息しています。夏には「ホタル」が飛び交うのでしょうね。



< 野生希少植物 >

エビネ(海老根)」の花
雑木林などに生える多年草です。地方によって花色に変化があり、マニアの間では珍重な植物として有名です。既に、17年前の資料には、「栽培ブームが起こって採り尽くされ、野性のものはすっかり少なくなってしまった」と書かれています。私の周りのことですが、知人の山野草マニアが、「このエビネは、〇〇の山で採ってきた‥‥」と、自慢げに話していたのを思い出し、嫌ぁな気分になってしまいました。
この植物と出会えるとは、全く考えてもいなかったのですが、散策中に自生種の花を見たときは、俄かには信じられず、我が目を疑ってしまいましたねぇ。嬉しさよりも、驚きの方が大きかったのかも知れません。



「ツボスミレ(壷菫)」の花
この「スミレ」のことは、5月6日の記事、 “ S町の里山へ!( パート4 )” にも取り上げましたが、今回の散策とは別の地区で発見したものです。やはり、ここでも、湧き水の流れる溝の周りに群生していました。再度、説明文を付け加えました。
低地から山地の湿った所に生える多年草です。別名「ニョイスミレ」とも呼ばれ、花は小さく、 “ スミレ属 ” の中では一番小型の種に入ります。



< 野生植物 >

ゲンノショウコ(現の証拠)」の花
お馴染みの、山野の草地などに生える多年草です。同じ「フウロソウ属」の仲間の中でも、高山植物の「ハクサンフウロ(白山風露)」などのように、花が大きくて美しい種は盗掘が絶えませんが、この植物は、あまり観賞用にならないのか、採られることも無く、今でも多く見られます。花は東日本では白色系、西日本では赤色系が多く変化に富んでいます。良く見ると美しいと思いますが‥‥。
代表的な薬草で、下痢・便秘・神経痛に薬効があります。私も子供の頃に腹痛を起こした時、乾燥したものを煎じて飲まされた経験がありますね。



ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)」の花
田圃の畦などの湿った場所に生える多年草です。白い花のものは、ただ「サギゴケ」と呼んでいますが、走出枝(ランナー)を出して広がります。



< 昆 虫 >

「アオハダトンボ」
この「トンボ」は初めて見ました。出会った時は「ハグロトンボ?」、と、思ったのですが、どこか違うようにも見えます。「カワトンボ」の仲間だろうと考えたのですが、名は分かりませんでした。帰ってから図鑑を調べましたら、翅の先端に白い斑点があり、「アオハダトンボ」の雌だと分かりました。「ハグロトンボ」より少し小さく、体長は55mmほど、翅色は半透明の茶色、止まっているときは翅を広げません。薄暗い場所で撮影しましたので、体色は薄い茶褐色に見えますが、日当たりの良いところでは金色に輝きます。
※メス



[某地区の里山


双体道祖神
S町の彼方此方に、9体の双体道祖神がありますが、その内の1体で、木製の祠に祀られていました。背面に宝暦5年(1755年)の銘があるそうですが、風化していてお顔の輪郭がよく分かりません。


野仏2体
上の双体道祖神の傍の高台に神社があり、古そうな(江戸時代頃?)仏様2体が祀られていました。向かって左側は、子安観音?、右は不明です。



< 野生希少植物 >

「キンラン(金蘭)」の花
この「キンラン」のことは、5月14日の記事、 “ [ 房総風土記の丘・房総のむら ]散策 ” でも取り上げましたが、この酒々井町の周りでは見られず、不信に思っていたのです。自然環境から判断すれば、当然、たくさんあってもおかしくないはずです。この問題は、先日の “ 本佐倉城跡 ” の見学会に参加したとき、 “ 酒々井ふるさとガイドの会 ” の方から、「東京の奴等が夜中に盗掘にきて、ごっそり採っていってしまった」、と、聞いて、いっしょに憤慨したばかりです。
それにしても、1本も見られないのは異状だと考えていましたので、林の中で2本が花を着けているのを発見したときは、やっと見つけたよ!、と、声をかけてしまいましたね。「エビネ」や「シュンラン」が採り尽くされ、今や、心無い人たちにより被害を被っているのは、この植物のようですね。



「ギンラン(銀蘭)」の花
この植物も、5月14日の記事、 “ [ 房総風土記の丘・房総のむら ]散策 ” でも取り上げました。この植物も同様に盗掘の被害に遭っていますが、元々数が少ないのですから、たまったものではありません。
この「ギンラン」も、偶然、上の「キンラン」と同じ場所で見つけました。やはり、やっと見つけたよ!、と、挨拶をしましたね。



< 菌 類 >

「キノコ」
美味しそうですが?、怖いので、手(口)を出しません。



< 昆 虫 >

「アサヒナカワトンボ」
この「トンボ」も、出会った時は「ハグロトンボ」の雄、と、思ったのですが、写真を撮りながら観察すると、翅色が薄く半透明で、「カワトンボ科」の雄の特徴も示しています。日当たりの良いところで撮影できたので、体色は青く光り、翅の付根は金色に輝いていました。同じ日に「アサヒナカワトンボ」の雌雄の写真が撮れるとは、ラッキーでした。
「カワトンボ科」の仲間は、水の綺麗な小川の周りに生息します。この辺り一帯の湧き水は、水田にも利用されているので、生息環境は良好に保たれているのでしょうね。
※オス



「アカスジキンカメムシ」の5齢幼虫
カメムシ」の幼虫は、姿や色からは成虫を想像できない種が多いのです。


参考写真:成虫
美しいので、切手にもなりました。



「トラフムシヒキ」
獰猛な「アブ」の仲間です。逞しい脚で、何か獲物を捕らえたようです。



ヤマトシジミ
おそらく、蝶の仲間では最も小さい種でしょう。雄の翅色は鮮やかな青色です。
※メス



「キイロホソガガンボ
この昆虫は、どうしてこんなに足が長いのでしょうか?。



ミスジツマキリエダシャク」