“ ぶらり自然観察人 ”   [ 房総風土記の丘・房総のむら ] 散策

連休の合間をぬって、久しぶりに栄町にある県立[ 房総風土記の丘・房総のむら ] へ行ってきました。隣接して成田市の自然公園[坂田ヶ池総合公園]もあります。[ 房総風土記の丘 ]には風土記の丘資料館、100基以上の古墳群、重要文化財に指定された明治時代の学校建築、江戸時代の民家など、[ 房総のむら ]には江戸時代の町並みや農村を再現した施設などがあります。[坂田ヶ池総合公園]の大きな沼は水鳥の生息地で、休日には多くの家族連れが訪れます。
この辺り一帯は自然・文化財・史跡の宝庫です。船橋市に在住していた時には度々訪れましたが、往復70kmはあり、1日がかりでした。
先日の “ 本佐倉城跡 ” の見学記事に少々触れましたが、城跡の物見台から、この辺り一帯の森が見えるので、徒歩でいけるかどうか調べましたら、思ったより遠くて往復28kmほどあり、歩いて行く自信がないので、車を使用することにしました。


< [房総のむら]風景 >

「商家の町並み」
この町並みは、江戸時代の衣装を着て闊歩する人もいて、 “ タイムスリップ ” したような錯覚を起こします。度々、テレビ時代劇の撮影に使用されてもいます。



「農村歌舞伎舞台」
この舞台は、季節に応じて色々なイベントが開かれています。成田市の某小学校4年生の生徒達が、遠足に来ていました。聞いてみると徒歩で来たとのこと、往復十数キロメートルはあるでしょう?、生徒は大変でしょうが、先生方はどんな思いでしょうかね?。おもわず「頑張っているね!」、と、声をかけてしまいました。



「下総の農家」の龍飾り
復元された「下総の農家」の出入り口に、藁で作った龍と思われる人形が飾られていました。魔除けの占いかもしれませんね?。



「水口祭り」の飾り
水田の入り口に設けられていました。豊作を祈願する儀式だそうです。



「水車小屋」
水田の傍で長閑な音、水車がゆっくりと回っていました。



< 春に見られる野生希少植物 >
山地や里山の希少植物は、山野草のマニヤや業者によって盗掘され、公的機関や保護団体などにより、手厚く保全されていないところでは、殆ど自生のものは見られなくなってしまいました。趣味も人間の欲望でしょう、自然の生態系破壊をすることは、何れ人間の首を絞めることになりかねません。生き物相手の趣味は、程々にしないといけませんね。


コセリバオウレン(小芹葉黄連)」の実
山地の林に生える多年草です。「オウレン(黄連)」の仲間ですが、葉が「セリ(芹)」似ていること、根茎の断面が黄色いことから、この名が付きました。
私が、この植物を見たのは、この場所一ヶ所だけです。花期は2月頃、今年は残念ながら、花を見る機会がありませんでした。
胃痛・下痢・結膜炎・高血圧など、多くの症状に薬効があり、貴重な薬用植物です。


参考写真:昨年2月に撮影しました。



フデリンドウ(筆竜胆)」の花
山地などの、やや日当たりの良い林に生える2年草です。「ハルリンドウ(春竜胆)」によく似ていますが、根生葉は小さくロゼット状にはならず、花びらの間に小さな副片があります。
私は、以前に[房総風土記の丘]で数株を発見しましたが、今回は[房総のむら]内で多数の株を見付けました。この植物は、この2ヶ所以外では見たことがありません。



「ツクバキンモンソウ」の花
丘陵地の、日当たりの良い場所に生える多年草です。「ニシキゴロモ(錦衣)」の変種だと云われていますが、上唇と云われる花びらが、「ニシキゴロモ」より短く、花色が白っぽいので区別が付きます。主に関東地方以西の太平洋側に分布しています。
この植物は、以前に[房総風土記の丘]で1株だけ発見しましたが、もう、同じ場所にはありませんでした。今回は運良く、[房総のむら]内で数株を見付けました。この植物も、この2ヶ所以外では見たことがありません。



ホタルカズラ(蛍葛)」の花
丘陵地や山地の、日当たりの良いところに生える多年草です。美しい青紫色の花が咲き、「クズ(葛)」のように走出枝(ランナー)を出すので、この名がつきました。
この植物は、この1ヶ所でしか見たことがありません。毎年の春に訪れますが、もしかしたら、私だけの秘密の場所かもしれませんね。



「ミヤマツボスミレ(深山坪菫)?」の花
亜高山帯などの湿地に生える多年草です。正直に云えば、平地や山地に生える「ツボスミレ」と、あまりにも似ているので特定に迷いました。花形と色・葉形は「ミヤマツボスミレ」に近く、育っている環境は「ツボスミレ」に近く、まったく微妙です。場所柄か群生までになっていませんでした。
少々乱暴かもしれませんが、期待も込めて「ミヤマツボスミレ」と云うことに‥‥。この辺りでは両種ともに、希少植物の中に入るでしょうね。ご意見をお待ちしています。



「キンラン(金蘭)」の花
山地の雑木林などに生える多年草です。鮮やかな黄色い壷形の花を咲かせるので、この名が付きました。以前の里山には、たくさん生育していましたが、山野草マニアや園芸品店に卸す目的で盗掘され、今では激減しています。



「ギンラン(銀蘭)」の花
山地の雑木林などに生える多年草です。「キンラン」より小型で、似たような環境で育ちます。白い花は全開せず、蕾のように見えます。元々数が少ないうえ、この植物も「キンラン」と同じ被害にあい、今の里山で、出会える機会は少なくなってしまいました。



< 春に見られる野生植物 >
下総一帯の里山の、どこでも見られる植物ですが、ここでは特に大きく立派に育っています。

ウマノアシガタ(馬の脚形)」の花



オヘビイチゴ(雄蛇苺)」の花



「アマドコロ(甘野老)」の蕾



ナルコユリ(鳴子百合)」の蕾



ウラシマソウ(浦島草)」の花(仏炎苞)



マムシグサ(蝮草)」の花(仏炎苞)



< 昆 虫 >

「ジャノメチョウ」



アカタテハ



「シオヤトンボ」
※オス


※メス