船橋北部周辺の動植物 “体内時計”小考 「カラスウリ」&「ニホンアマガエル」

我が家の“おかみさん(別名:妻・主婦・高齢者)”はラジオ放送(特にNHK深夜便)の愛聴者です。8月のはじめごろのこと、その“おかみさん”が住まい付近の小川沿い田園地帯に散歩に行ったとき、蕾のたくさんついたカラスウリの蔓をぶら下げて帰ってきました。何事かと思い訳を聞いてみると、「どんな花が咲くのか見てみたいのよぉ‥」とのこと。私が「夜にならないと咲かないよぉ」と答えると、「そんなことは知ってるよぉ、だから蔓を採って来たんじゃなーい?」と。奇抜な発想にビックリして、「そんなことをよく思いついたねぇ!」と言うと、「貴方に感化されたのよぉ、NHKの“夏休み子ども何でも相談”で生き物の体内時計について、回答者が最近の研究説明をしていたのを聞いて、ひょっとしたら、花が見られるかも知れないと思ったのよぉ‥」、とか、何とか、言いながら調理用のボールに水を張り、蔓を丸めて放り込みました。私も以前から夜に咲く、カラスウリの花の写真を撮りたいと思いながらも、難しそうなので躊躇していました。体内時計の話を聞いているうちに、ひょっとして?、を期待して見守ることにしました。
そして、思い出したことは、子供の頃から『「アマガエル」や「カメレオン」などは、周りの模様や色に合わせて変わることができる、それを保護色いう』と、教わってきました。「ニホンアマガエル」の写真を撮りながら観察する一方で、長年疑問に思っていたことがあるので取り上げてみました。



[植物の体内時計]
太陽の恵みを受けて、地球上の生物は繁栄しています。特に、移動することができない植物は、毎日繰り返される昼と夜、1年を通じて変化する四季などの環境の変化に耐えるだけでなく、例えば、日の出を予測し、夜明け前から光合成の準備をするなど、予測によって変化を積極的かつ効率的に利用しています。この予測に重要な働きを担うシステムが「体内時計」です。近年の網羅的な遺伝子探索により、体内時計に関連するさまざまな「時計遺伝子」が見つかり、それらが生理現象の制御をしていることが明らかになってきました。(独立行政法人 理化学研究所のホームページ“植物の体内時計”から抜粋)

感想:私の子供の頃、自然豊かな山間の学校に通学していました。夏になると谷川に沿った通学路のあちこちに、「合歓(ネム)の木」の花が咲き乱れていました。登校時に広がっていた葉が、夕方の下校時には閉じており、子どもながらに不思議に思ったものです。それから今日まで“暗くなると閉じる”ようにできていると思い込んでいたのですね。
ところが、NHKの“夏休み子ども何でも相談”の回答は、最近の研究結果では遺伝子に体内時計が組み込まれており“暗くなくても閉じる”ことが分かってきたとのことでした。[ぶらり自然観察人]としては、これまでの“古い考えや教えは、根本的に見直さなくてはならない”なぁ‥‥と、強く感じているところです。



カラスウリ
林縁の藪などに普通に見られる雌雄別株の蔓性植物です。秋になると艶のある真っ赤な実をつけるので人目につき易いが、夏の夜に咲く花を実際に見たことがある人は少ないでしょう。


※野外で日中に撮影した写真です。昨夜に咲いた萎んだ花(上)と今晩に咲く蕾(下)です。この状態では雄株か雌株かは分かりません。


※電灯の光の下で、夜の6時半ごろに咲き始め、この段階で採ってきたこの蔓は、雄花だと分かりました。8時半ごろには幻想的で見事な花が咲ききりました。“暗くなくても咲く”、遺伝子にインプットされた体内時計の証明ができたようです。


※これも日中に野外で撮影した写真です。普通は明け方には萎んでしまいますが、例外的に昼頃になっても萎みきらないものもあるようです。何かの理由で体内時計が狂ったのでしょうか?。


※未成熟の実は、食用の瓜のように緑色の縞模様をしていますが、これは“クロロフィル”と云う成分によるとのことです。美味しそう?‥‥ですねぇ。


※成熟した実が赤くなるのは、やはり遺伝子(体内時計)に組み込まれた成分が、“クロロフィル”から“リコピン”と“γーカロテン”に変わることによるとのことです。専門的な事はよく分かりませんがねぇ。



[動物の体内時計]
体内時計というと、以前は脳だけにあると思われていましたが、最近、体中にあることがわかってきました。
肝臓や筋肉、肺、心臓といった臓器や、脳の中の視交叉上核以外の場所にも存在するのです。視交叉上核にある体内時計を【主要時計】といい、それ以外のところにあるのを【抹消時計】といいます。【抹消時計】は自分だけでは長期間リズムを作れないので、普段は【主要時計】にコントロールされています。主要時計が抹消時計をコントロールする際には交感神経が重要な役割を果たしていることが報告されています。肝臓にある抹消時計では、食事の時刻によってリズムが変わることが判明しています。
ではなぜ体中に体内時計があるのでしょうか?
これは、体の各臓器を適切な時刻に活動させるためではないかと考えられています。たとえば、私たちは朝目が覚めると起き出して体を動かします。一日3回食事をします。したがって、毎日ほぼ決まった時刻に筋肉や、消化管、肝臓などを働かせなければならないのですが、目が覚めてから急に筋肉に使うためのエネルギーを準備したり、食事が始まってから消化管を動かすより、あらかじめその時刻が来る少し前から、抹消時計を使って準備しておいた方が効率的と考えられます。
臓器によって活動すべき時刻は異なりますから、それぞれの臓器ごとに専用の抹消時計をあてがい、体全体としては主要時計で調和を保たせるという仕組みはたいへん合理的に思えます。(ホームページ  poesie.web.infoseek.co.jp/SD1_tainaitokei.htm“体内時計のしくみ”から抜粋 )


後日の追加記事:[宇宙飛行士の体内時計]
10月10日、某新聞に “ 体内時計 宇宙生活で正常化 ” と云うタイトルで、興味深い記事が掲載してありました。既にお読みになった方もいらっしゃると思いますが‥‥。
内容を要約しますと、「人間の1日の体内時計(概日リズム)は24時間より少し長めに刻んでおり、太陽光を見ることなどで修正している。宇宙航空研究開発機構(JAXS)の研究によると、宇宙飛行士の若田光一野口聡一さんら数人が国際宇宙ステーション(ISS)に約半年間滞在したとき、24時間の心電図計測を3回行い、地上での計測値と比較すると、ISSに滞在中の概日リズムの方が、24時間により近づき、正常化する傾向がみられた。ISSから帰還後に計測すると、元の概日リズムに戻っていた。予測では、地球を周回するISSは昼夜が45分で入れ替わるため、生体リズムが崩れて体力が低下し、免疫力が落ちると懸念されていた。正常化の理由は不明だが、ISS船内の照明は、一日の再現をするために昼は点灯、夜は消灯をされていたので、地球上より規則正しい生活が影響した可能性がある。」とのことでした。


感想:生物の体内時計の問題は、私たちが通常考えているより、もっと深い訳が隠されているのかもしれませんねぇ?。生命は神秘に満ち溢れているようです。
感想:色々と調べているうちに、人間の生活リズムや健康管理にも体内時計が大きく関わっていることが分かってきました。体内時計を狂わせると「ガン」・「心筋梗塞」・「うつ病」・「血圧」・「突然死」など様々な病気の原因にもなるようです。太古の昔、生命誕生のときから自然によって培われてきた体内時計(遺伝子)に、できるだけ忠実に生きることが、心身とも健康の基なのかもしれません。科学は発展しましたが、そのぶん現代人は科学依存症に陥ったようで、自然とともに生きることを忘れてきているようです。私も若い頃から分かっていればねぇ、不規則な生活でだいぶん体内時計を狂わせてきたかも?‥‥です。
素人考えですが、「ニホンアマガエル」が体色を自在に変えられることは無く、予め体内時計(遺伝子)にインプットされたプログラムによって変化したとき、周りの色や模様に合致すれば保護色になるが、合致しなければ反って目立ち危険に晒される。と、思いますがどうでしょうか?。証明するためには、長期間「ニホンアマガエル」の飼育をして観察しなければなりませんが?‥‥無理でしょうねぇ。




ニホンアマガエル
「アマガエル」の呼び名で最も馴染み深く、保護色に変化できると云われてきた代表的な蛙です。雨が降ってくると田圃などの水辺で、煩いぐらい“ゲロゲロ”と鳴いているのを聞きますが、意外と木葉や草葉の上にじっとしていることが多いのです。あまり知られていませんが、体の皮膚から身を守るための毒液を出すので要注意!。


※未成熟体(子ども)です。小さいうちは染みの無い綺麗な緑色をしています。大抵が緑の草葉の上に止まり、葉の色と同色で保護色になっているようにみえますが、これは地色でしょうねぇ、葉色の濃淡には関係なさそうです。


※やや成熟しかかった個体で、体に黒い班が出始めています。体の色は相変わらず緑色ですが、黒ゴマを撒いたような班が保護色になっている、と云えるかも知れませんが、どうも怪しいものですねぇ。


※成熟した個体(体長約3.5cm)です。この蛙を見たときは別種だと思ったほど、変わった色と模様をしています。しかし、よく見ると「ニホンアマガエル」の特徴をしており、これまで見た中では一番変化の大きい個体です。ところが、止まっている葉の濃さに比べ、明るすぎてよく目立ち保護色になっていません。体内時計で色や模様が変わることは納得できましたがねぇ。


※私が写真撮影した一番大きく成熟した個体(体長約4cm)です。ここまで大きくなると貫禄十分と云うところですが、長時間枯草の上に止まっていながら、相変わらず緑色のままです。どうも忍者のような変身は出来そうもありませんねぇ。


後日の追加記事:上記の記事を書いているときは、迂闊にも思い至らなかったのですが、私の5月2日付けの記事[船橋北部周辺の小動物「はてな?カエル」]で取り上げた、種類の分からなかった「カエル」が「ニホンアマガエル」らしいと気がつきました。
この「カエル」の寿命は自然下では数年、体長4cm前後が限度と云われていています。しかし、この個体は体長が5cm以上はありそうで、薄茶色の体色をしており、まったく別種だと思っていたのです。
写真を撮影したのは4月24日、冬眠から目覚めて地上へ出てきた直後でしょう。新緑には少々早く地上は枯葉で覆われており、体内時計はそれに合わせた色模様に予めプログラムされていたのかもしれません?。この個体が一番保護色になっていますねぇ。