船橋北部周辺の紛らわしい蜆蝶 (2) 「ツバメシジミ」&「ヤマトシジミ」&「ルリシジミ」

「ツバメシジミ」・「ヤマトシジミ」・「ルリシジミ」は、「シジミチョウ科」に属し、ほぼ日本全土(一部島嶼等を除く)の平地や低山地の日当たりのよい草叢に生息し、船橋北部周辺でも春から秋にかけて普通に見られます。日本産の蝶の仲間では最小の部類に属し、低い草の上をヒラヒラと飛び交ったり、色々な草花の蜜を吸っていますが、小さいので一般的には殆ど無視されています。また、蝶ではなく蛾だと思っている人も多いようです。
この3種の蝶は、生態や大きさ・色・模様がよく似ているので、種類や雄・雌の特定がしにくく、写真は何枚も同じような場面を撮らざるを得ず、あまりに小さいのでピント合わせにも苦労をします。また、必ず翅を閉じて止まり、ご機嫌のとき以外はなかなか翅表を見せません。個体数が多い割りには、いざ写真を撮ろうとすると良い映像にならず、カメラマン泣かせの蝶なのです。


「ツバメシジミ
この蝶は、後翅の先端に尾状突起があり、鳥の「ツバメ」の尾翼に似ていることから「ツバメ」と冠されました。後翅裏側先端にオレンジ色の斑紋がありますので、他の2種に比べて見分けやすいと云えます。
成虫の開帳幅(翅を広げた寸法)は25mm前後、活動時期は早春から秋、幼虫の食草は「ミヤコグサ」・「メドハギ」・「クサフジ」。
※オス
翅表の青色は、個体により色々と変化し、翅の先端に黒色と白色の二重の縁取りがあります。


前後翅の斑紋は、雌より雄の方のほうが大きく鮮明に見えます。


※メス
翅の表側は濃い茶褐色、後翅のオレンジ色斑紋が目立ちます。翅の先端に雄と同じ縁取りがありますが、黒色の縁取りは地色に埋没してよく見えません。


雌が産卵しているところです。


※ツガイ
向って左側が雌、右側が雄です。



ヤマトシジミ
この蝶の見分けが一番厄介です。雄の表翅は「ツバメシジミ」・「ルリシジミ」と同じような青色、また、雌は「ツバメシジミ」と同じような濃い茶褐色なので、一目では区別がつきません。
成虫の開帳幅(翅を広げた寸法)は24mm前後、活動時期は春から晩秋、幼虫の食草は「カタバミ」。
※オス
この蝶も翅表の青色は、個体により色々と変化があります。色・縁取りともに「ツバメシジミ」そっくり、よく見ると尾状突起が無いので何とか区別がつきますが、まったく困っちゃうなぁ‥と思うのは人間の勝手でしょうねぇ。


前後翅裏側の斑紋は、雄・雌ともほぼ同じなので、翅表を見ない限り区別は困難なのです。


※メス
翅の表側は濃い茶褐色、翅の先端に雄と同じ縁取りがありますが、黒色の縁取りは地色に埋没しているのか、または元から無いのか、白色の縁取りだけに見えます。尾状突起やオレンジ色の斑紋が無いので、「ツバメシジミ」と区別できますがねぇ‥‥。


※ツガイ
向って左側が雄、右側が雌です。個々では同じように見えても、並べてみると色模様の濃さがちがいますねぇ。



「ルリシジミ
この蝶も、雄の表翅は「ツバメシジミ」・「ヤマトシジミ」と同じような青色ですが、翅全体が鮮やかな色のもの、殆どがくすんで濃い茶褐色のものまで様々です。雌は濃い茶褐色地に青白い模様があり、翅の縁取りは雄・雌ともに白色のみ一重で、一目では区別がつきにくいのです。
成虫の開帳幅(翅を広げた寸法)は22〜23mm、活動時期は早春から秋、幼虫の食草は「ハギ」・「フジ」など。
※オス
この個体は、翅表の青色の模様が少なくて美しく見えませんねぇ。また、一目では雌と見間違えそうです。なかには飛んでいる時、ハッとするぐらい鮮やかな色のものもいますが、止まったときに写真を撮ろうとしても、なかなか翅を開いてくれません。


この写真では翅裏は雄・雌ともに斑紋模様が同じで区別できません。飛んでいる時に確認したんですねぇ。


※メス
この個体は標準的な雌で、雄より白っぽい青色模様とその範囲が特徴です。しかし、これだけでは雌だと区別できにくいでしょう。細部の検討をしたんですねぇ。


雌が産卵しているところです。産卵は雌しかしませんから、誰でも分かりますねぇ。