[ ふなばしアンデルセン公園 ]の蜻蛉 (トンボ)

ふなばしアンデルセン公園]は高齢者・身障者は入場料が免除されます。お蔭様にて日常の自然散策コースに利用させてもらい、頻繁に訪れています。公園内には「太陽の池」と名づけられた大きな池がありますが、その周りは野鳥や昆虫類など、色々な生き物に出会うことができます。特に春から秋にかけて蜻蛉(トンボ)類が多く、船橋北部周辺では、なかなか見ることができない種も生息しています。
そこで、この公園に通いだして2年余りの間に、写真撮影できた種類を整理してみました。雄・雌のうち片方のみのもの、または、両方ともまだ撮れていない種もありますが、今後、運よく撮影できたら追加掲載をしていきたいと考えています。
私の独断と偏見で、個体数が少ないと思われる順に掲載しました。
後日の追記:間もなく夏が終り、秋になろうとしています。「トンボ」の数が、昨年に比べて今年は大分少ないようです。この公園だけの現象ではなく、船橋北部周辺全域に共通しています。その年々の気候などの影響で、発生時期や個体数が変動するようです。人為による自然環境の悪化などが原因でなければよいのですが?‥‥ねぇ。



「チョウトンボ」
船橋北部では初めて一匹の雄を見ました。「トンボ科」に属し、比較的大きな池や沼の周りで生活をしています。太陽光を背に受けたとき、濃青色の翅が光って何んともいえない深い光彩を放ちます。「アシ」などの細長い葉の先端に止まる習性があり、風に揺れ動くためになかなかピントが合いません。また、小さい体(体長35mm)に似合わず、幅の広い翅を持ち、いったん飛び立つと蝶のように風に乗って長時間飛んでいられるのです。カメラマン(自称)泣かせの「トンボ」ですね。やっと撮れた写真ですが、やはりブレてしまいましたね。
追記:その後も数度同公園を訪れていますが、姿が見られませんでした。
※オス
マコモ」の葉の先に止まりました。


※写真はブレていてよくありませんが、色は何とか分かると思います?。


後日の追加写真:上の写真を撮影した1ヶ月後(8月16日)に同じ場所で出会いました。別の個体だと思われますが、翅が劣化し色も褪せていました。



「ウチワヤンマ」
今年初めて一匹の雄を見ました。昨年は雄・雌ともに初めて出会い、猛暑の中で夢中なって写真を撮ったことを思い出しました。名に「ヤンマ」と付いていますが、「ヤンマ科」に属さず「サナエトンボ科」の仲間なのです。「オニヤンマ」より一回り小型(体長70mm)ですが、姿がよく似ていることと、腹部の先端近くに団扇のような突起があるので、「ウチワヤンマ」と名づけられたのです。
追記(1):その後も数度同公園を訪れていますが、姿が見られませんでした。何故か昨年より数が少ないようで気になります。
追記(2):8月に入ってから複数(3〜4匹)見られるようになりましたが、やはり昨年より少ないようです。
※オス
安定した池中の杭によく止まります。


※メス
昨年撮影したものです。今年はまだ見ていません。
追記:8月に入ってから飛翔中の一匹を確認しました。


「オニヤンマ」
8月23日、数日間降り続いた豪雨もおさまり、久しぶりに同公園を訪れました。雨上がりの後は色々な生き物が活発に活動します。昼下がりから夕方にかけて、飛び疲れた「トンボ」が翅を休めるために、草や木の枝に止まります。この時が写真撮影のチャンスです。
この日、「太陽の池」で産卵中の「ギンヤンマ」の番(ツガイ)を見つけ、カメラを構えようとした瞬間、バシャ!という水音とともに水中から黒い大きな物体が現れ、「ギンヤンマ」を咥えて水中に没してしまいました。その間1〜2秒、水鳥の「カイツブリ」だったのです。この鳥が潜水の名人だとは知っていましたが、まさか、目の前で「ギンヤンマ」を横取りされるとは‥、その「カイツブリ」も撮影できず意志消沈。
帰路につこうとゲートに向う途中で「オニヤンマ」に出会いました。日本の「トンボ」では最大級(体長100mm前後)、「オニヤンマ科」の象徴的存在。さすがに「トンボ」の王様(雌なので女王様か?)、他の種類に比べて飛び方が重爆撃機のようです。初めて「オニヤンマ」の雌の撮影ができたので、また元気が復活‥でした。
※メス
今回撮影した個体です。雌のくせに面構えも相当なものですね。



※オス
2年前に撮影した個体です。腹部が雌より細めですね。



「ギンヤンマ」
今年初めて写真撮影ができました。それも、産卵中のツガイだったので、いっぺんに雄・雌ともにに撮れてラッキーです。戦争直後の少年時代には「憧れのトンボ」、採網が手に入らない時代だったので、手掴みしようと追いかけまわした思い出があります。「オニヤンマ」より一回り小型(体長70mm)ですが、「ヤンマ科」に属し、トンボの仲間では最も敏捷で速く飛べるそうです。素手では掴めるわけがないのですがね。
雄と雌が繋がったままで、雌の腹の先にある産卵管を水中の水草の茎に差込み産卵します。写真をよく見ると、雄と雌ではかなり色模様が違いますね。
※ツガイ
水上の「マコモ」の枯茎に止まり産卵しています。


※産卵中のツガイ
他の雄が頻繁に体当たりをしていました。雌を横取りしようとしているようです。トンボの仲間にはよくある行為ですが、強い雄が勝つようです。コワーィ!‥ですねぇ。下の写真の左上に「隙あらば‥」と狙っている雄の頭が写っていますが‥‥。


※オス
池の上を飛翔中、ホバリングをした瞬間に撮影しましたが、うーんっ難しいですねぇ!。


後日追加写真:公園内「太陽の池」の隅で数匹が飛び上がったり、「マコモ」の葉に止まったりを繰り返していました。普通「ギンヤンマ」は長時間飛翔し続けるので、写真撮影が難しいトンボですが、この時の行動は珍しく、止まるところを予測しながらしっかりと撮影できました。
※メス


後日追加写真:



「アオモンイトトンボ
上記の「ギンヤンマ」と同日に同じ場所で撮影しました。このトンボは「イトトンボ科」の仲間です。あまりに細くて小さいため、よほど注視していないと見過ごしてしまいます。写真撮影もなかなかピントが合わず苦労をしました。姿・色彩とも「アジアイトトンボ」とよく似ていますが、少し大きめ(体長32mm前後)で、雄は腹部の第8腹節だけが青白い粉が吹きます。両者とも翅を閉じて止まるので、見分けにくく困ったもの‥、と、云うのは人間の勝手でしょうかねぇ?。
※オス


9月上旬、台風12号の影響で妖しい雲行きの中、同公園を訪れました。「太陽の池」の隅で「アオモンイトトンボ」の雄らしいのが2匹重なっているのを発見しました。何か変な止まり方だなぁ、と思いながらカメラのファインダーを覗いて、ビックリ!、共食いをしているのだと思ったのです。帰宅して画像を拡大してみると、食べられているのは「アジアイトトンボ」の雄のようです。自然界は、怖い!、怖い!。


数日後、今度は同じ「アジアイトトンボ」の雌が食べられているところを撮影しました。自然界は、怖い!、怖い!。


※ツガイ
この状態で水面近くに止まっていると、「アメンボ」などに食われてしまうことがあります。自然界は、怖い!、怖い!。



「アジアイトトンボ
同公園内の「太陽の池」に流れ込む水は、上流にある湧き水が源流のようです。今は流れが整備され、途中には里山風景を再現した田圃があります。夏の終り頃、たわわに実った稲の間を細長いゴミのように?飛び交っていました。上記の「アオモンイトトンボ」よりも、さらに小さく(体長28mm前後)、「トンボ」の仲間では最小で、しゃがんで目を凝らしていないと、なかなか見つけられません。このトンボも「イトトンボ科」の仲間ですが、雄は腹部の第9腹節だけが青白い粉が吹きます。「アオモンイトトンボ」と同様に翅を閉じて止まるので、本当に見分け難いのですねぇ。
※オス


※メス
この個体は、どういうわけか翅を半開きにしてとまりました。こんな事もあるのですねぇ、「アオイトトンボ」と勘違いしてしまいそうです。


※ツガイ
雄・雌が番(つがい)になって止まっているところは、枯れ草のオブジェのように見えます。拡大すると「トンボ」だと分かりますが‥‥。



「ヒメアカネ」
「夕焼け小焼けの赤トンボ‥‥」と唱歌に歌われているように、一般には「赤トンボ」の名で知られるトンボの一種です。「トンボ科」に属し、一見して「ナツアカネ」や「アキアカネ」などと似ていますが、個体数が少ないうえ、活動時期や生活環境がほぼ同じで、このトンボが別種だとは気がつきません。しかし、気をつけて観察すると、これらよりも一回り小ぶり(体長30mm前後)で、飛び方のスケールも小さいので見分けがつきます。
※メス
なかなか雄が見つかりません。



「コフキトンボ」
シオカラトンボ」に少々似ていますが二回りほど小さく(体長40mm前後)寸詰まりの印象を与えます。「トンボ科」に属し、雄は全体が青白い粉で覆われ、雌もほぼ同色ですが脇腹が黄色身をおびて黒筋が入っています。稀には「シオヤトンボ」の雌のような模様のものもいるそうです。



「シオヤトンボ」
シオカラトンボ」に似ていますが一回りほど小さく(体長45mm前後)、このトンボも「トンボ科」に属します。雄の腹の先に黒い部分が無く全体が青白い粉で覆われています。また、雌は黄色地の腹の両側に2本の太い黒い線が通っていて、雄・雌の区別がつき易いのです。
※オス


※メス
大きさ、色模様は「ハラビロトンボ(現在までのところ同公園では見ていません)」に似ています。チョット見では勘違いしますねぇ。



「アオイトトンボ
このトンボも細くて小さいうえ、水辺の薄暗い低木や下草の中で生活しているので、よほど注視していないと見つかりません。「ヤブカ」がウヨウヨいて集中攻撃をかけてくるので、写真撮影もなかなかピントが合わず、マイッタ、マイッタ‥‥。姿・色彩とも「アオモンイトトンボ」とよく似ていますが、同種と違い「アオイトトンボ科」に属し、かなり大きめ(体長40mm前後)で、翅を半開きにして止まるので、まず見間違えることはありませんねぇ。
※オス


※メス
雌は雄より腹部が太くズングリして見えますが、肥満?ではありません。



「コシアキトンボ」
名の通り、全体が黒い体の中ほどに、雄は白色、雌は黄色の帯状の模様があり、腰の部分が開いているように見えることから名づけられました。このトンボも「トンボ科」に属し、体長は42mm前後、比較的大きな池や沼の周りで生活をしています。雄は雌に比べて個体数が極端に多いようですが、雄はテリトリーを持ち、長時間巡回飛行をしているので目立つのでしょうか?。共同でテリトリー巡回をするらしく、2匹が仲良く飛んでいるところを頻繁に見ます。
※オス


※メス
個体数は雄に比べて極端に少ないようですが、繁殖期には殆どの雄はどうなるのですかねぇ?。


※オス同士でランデブー?、パトロール?。



ショウジョウトンボ
「ショウジョウ」とは黒く見えるほど赤いと云う意味だそうですが、雄は成熟すると見事と唸るほど体中が真っ赤になります。緑色の草の葉などに止まっているのを見ていると、目がチカチカして痛くなりますねぇ。「トンボ科」に属し、体長は48mm前後、水辺周辺の割りと広い範囲で生活をしています。
※オス


※メス
雌は全体が薄い茶褐色で、チョット見には、渡りトンボの「ウスバキトンボ(現在までのところ同公園では見ていません)」と勘違いします。



「オオシオカラトンボ
個体数が少ないうえ、生態・姿態とも「シオカラトンボ」によく似ているので、見慣れていないと区別がつき難いでしょう。雄・雌ともに色が濃いことと、翅の付け根に黒い部分があるので区別がつきますがね。ちょつと見ではズングリした肥満体?のような体型で、鈍重な印象を与えます。「オオシオカラ」と名付けられてはいますが、大きさは体長50〜57mmで「シオカラトンボ」と殆ど変わりません。
※オス
腹部は「シオカラトンボ」より濃い青色で、中には黒っぽく見える個体もいますよ。


※メス
腹部の黄色の部分が「シオカラトンボ」より少ないですね。



アキアカネ
一般に「赤トンボ」と云われている代表的な一種です。「ナツアカネ」と同様に初夏に羽化しますが、暑さが苦手なため真夏は山地へ避暑に行き、平地では殆ど見られません。秋になると真っ赤になって里に戻ってきます。“夕焼け空と赤トンボ”何故か都会で育った人も懐かしく感じるそうです。体長40mmほどの小型のトンボですが、風に乗って飛び交う様子は絵になりますねぇ。
「ナツアカネ」と同様に「トンボ科」の仲間ですが、見慣れたものでも区別がつきにくいほど良く似ており、カメラマン泣かせのトンボです。写真を多く撮影して胸の細かい模様を調べ、特定するしかないようです。
※オス
秋には真っ赤な体になって里に戻ってきました。


※メス
秋になっても体全体が赤くならないようです。



「ナツアカネ」
このトンボの説明は、上記の「アキアカネ」と殆ど同じでよさそうです。ただ、夏の間に山地へ避暑に行くことはなく、林縁などの日影で過ごしているようです。真夏には「アキアカネ」は殆ど見られませんので、見間違えることは少ないのですが‥‥。
※オス
秋になると体が真っ赤になります。


※メス
夏のうちは体が赤くなりません。



シオカラトンボ
この「トンボ」は平地や低山地の池沼・田圃などの水辺に生息しています。体格に似合わない獰猛性の持主で、飛びながら6本の足を器用に使って獲物を捕らえ、二対の強力な顎を交互に駆使して落とすことなく食します。雄は静止型のテリトリーを持ち、進入してくる外敵に対しては、「オニヤンマ」などの大型の昆虫のみならず、「スズメ」のような小鳥にさえ体あたりすることがあります。若い雄と雌は「ムギワラトンボ」と呼ばれ親しまれています。「トンボ科」に属し、体長は50〜55mm、中型(小型に近い)の「トンボ」で、個体数も多く「トンボ」の仲間では一番ポピュラーな種類でしょう。
※オス
成熟すると腹部の中ほどは青白い粉をふき、それより後端は黒色になります。

未成熟体、「ムギワラトンボ」と呼ばれています。


※メス
成熟すると腹部の中ほどより後端は黒色になります。

未成熟体、「ムギワラトンボ」と呼ばれています。


※ツガイ
なかなか苦しそうな体勢ではありませんか?。


※産卵中のツガイ
雌の打水産卵中、愛妻家?の雄は上空をパトロールしています。



ノシメトンボ
同公園だけでなく船橋北部周辺には、このトンボが一番多く生息しているようです。真夏は林縁などの木陰へ退避して過ごしていますが、初秋頃には田圃などの日当たりの良い水辺に出て、盛んに子孫作りをします。雄・雌が連結して打空産卵をしているところを見ますが、雌を引っ張って飛び回る雄は、かなりの重労働?のようで悲鳴が聞こえそうですねぇ。
このトンボも「赤トンボ」と云われている一種ですが、「アキアカネ」や「ナツアカネ」より少し大きく、体長は45mmほど、翅の先端に濃い茶色の模様があるので直ぐに見分けがつきます。
※オス
秋になっても体は真っ赤にはならず、どちらかと云うと赤黒くみえます。


※メス
夏場まではこのような色模様をしています。


※ツガイ
雄・雌連結しての打空産卵は重労働のようで、何かに止まり頻繁に休憩をします。


打空産卵中、雌は空中で卵を産み落とします。