“ ぶらり自然観察人 ”  北総の里山  中秋から晩秋へ!

《 野生植物 》

〈 草(タデ属) 〉
秋の草花の中で、地味ながら多くの花を咲かせ、里山を彩っている 「 タデ(蓼) 」 。この仲間は、私が知っている範囲では、9種ほどあるようです。この辺りで見られる種類を、出来るだけ(8種)集めてみました。残りは 「 サナエタデ(早苗蓼) 」 1種ですが、この種の花期は一番長く、5〜10月頃までなので、当然、見ているはずなのですが、多分、見落としているのでしょう?。


「 アイ(藍) の花穂 」
インドシナ原産の1年草です。高さ50〜60cmほどで、白花のものもあります。古い時代に渡来し、藍染の染料植物として栽培されてきました。葉は乾燥すると暗藍色になります。刻んだ葉を発酵させて藍玉を作り染料にします。この写真は、畑に栽培されていたもので、野生植物ではありませんが、 「 タデ属 」 の仲間では貴重種なので取上げました。
薬用としては、葉や実は解熱・解毒剤として利用されてきました。



オオケタデ(大毛蓼) の花穂 」
アジア原産の1年草で、高さ2mにもなる植物です。江戸時代に観賞用として輸入されましたが、今では荒地などに野生化しています。葉や茎に細かい毛が生えていて、大形なのでこの名が付きました。淡紅色の小さな花が密に着きます。



「 オオイヌタデ(大犬蓼) の花穂 」
道端や荒地に生える1年草です。この種も高さ2mにもなる植物で、花色は淡紅色のものもあります。



イヌタデ(犬蓼) の花穂 」
道端や草地に生える1年草です。高さ20〜50cmほどで、数ある 「 タデ属 」 の中では、ごく普通に見られ、別名 「 アカマンマ(赤飯) 」 の名で親しまれています。果実は花に包まれたまま、黒く熟します。



「 サクラタデ(桜蓼) の花穂 」
水辺や湿地に生える、雌雄別株の多年草です。高さ50cm〜1mほど、花の色が桜に似ているので、この名が付きました。 「 タデ属 」 の仲間の中では、花が大きく全開するので美しい。



「 シロバナサクラタデ(白花桜蓼) 」 の花
水辺や湿地に生える、雌雄別株の多年草です。高さ50cm〜1mほど、 「 サクラタデ(桜蓼) 」 に似ているが、白く小さい花をたくさん着け、花穂が垂れ下がる。写真のものは、花が一部しか開いていない。



「 ヤナギタデ(柳蓼) の花穂 」
水辺や湿地に生える1年草です。高さ40〜60cmほど、葉が 「 ヤナギ(柳) 」 に似ていることから、この名が付きました。秋には美しく紅葉します。
「 タデ 」 の仲間では唯一の食用種です。葉に酸味があるので、香辛料やタデ酢などに利用されています。



「 ポントクタデ(ぽんとく蓼) の花穂 」
水辺や湿地に生える1年草です。高さ50cm〜1mほど、 「 ポントク 」 とは “ ぽんつく(愚鈍者) ” と云う意味で、葉に辛味が無いことから名付けられたそうです。 「 ヤナギタデ(柳蓼) 」 と良く似ているので、特定に迷いましたが、大きさ・葉の特徴・花の着き方などから 「 ポントクタデ 」 としました。



〈 草(フウロ属) 〉
フウロソウ(風露草) 」 の仲間は高山植物が多い。勉強不足かも知れませんが、日本の在来種で、平地の里山で見られるのは 「 ゲンノショウコ 」 だけではないでしょうか?。


ゲンノショウコ(現の証拠) の花 」
ゲンノショウコ(現の証拠) 」 日本全土の山野に生える多年草です。薬効があるので 「 ゲンノショウコ(現の証拠) 」 と呼ばれてきました。薬用植物としては有名なのですが、一般的過ぎて雑草扱いを受けているようです。しかし、花は美しく、観賞用としても十分に耐えられそうです。
薬用としては、古くから下痢止めの薬として、重宝されてきました。


※ 東日本の標準種
この辺りでは殆どが白花で、花径は1〜1.5cmほどです。資料に依れば、東日本に多いらしい。


※ 西日本の標準種?
この辺りでは、赤花のものは殆ど見られません。高さは40〜50cm(普通は30cm)、花径は2cm(普通は1.5cm)ほどもあったので、他の種類か?、と、期待したのですが、葉は「 ゲンノショウコ 」 そのものだったので、少々ガックリ‥‥。資料に依れば、西日本に多いらしい。



〈 昆虫と草花 〉
自然の中で花を咲かせる山野草、それだけでも心を動かされますが、昆虫と共生している光景が加わると、より一層感動と美しさが引き立ちます。


「 キンケハラナガツチバチ・ツマグロキンバエ と モリアザミ



「 クロアゲハ と ヒガンバナ



「 クマバチ と ツリフネソウ 」



「 ホシホウジャク と ツリフネソウ 」



「 ホタルガ と ヒヨドリバナ



ノシメトンボ と ツリフネソウ 」