船橋北部周辺の甲虫 “象虫(ゾウムシ)” 7種

昆虫の中で甲虫類が一番多く、その数は世界中では約37万種ともいわれています。日本でも約1万種が生息し、大きさは「カブトムシ」や「クワガタムシ」のように体長70mm以上もあるものから、「ハムシ」の仲間のように数mmのものまでいます。また、姿態は変化に富んでいて、研究者にとって嬉しいことか、厄介なことか、聞いたことはありませんが、私のようなアマチュア自然観察人にとっては、種類の特定などで、まことに難儀な作業を強いられます。と、愚痴を云いながら楽しんでいるのかも知れませんがね。
ここで取り上げた甲虫の仲間は、一般的には保存穀物を食べ荒らす「コクゾウムシ」以外はあまり知られていません。口吻が動物の象の鼻ように細長く突き出ているため、「ゾウムシ」と云われている仲間で、今年に入ってから現在までに写真撮影した種です。今後も別種が見つかれば追加していきたいと考えています。
「コクゾウムシ(体長2.3〜3.5mm)」・「クリシギゾウムシ(体長6〜10mm)」・「ヤサイゾウムシ(体長7.5〜8mm)」のような農作物の害虫もいますが、ここでは気分に添わないので敬遠しました。


「オオアオゾウムシ」
夏の始め頃、農道沿い林縁の草葉に止まっているところを撮影しました。体は葉色と同色をしており、「ゾウムシ」の仲間では最も美しい翅色をしています。細長い口吻が二つに別れているようにも見えます。保護色には自信があるらしく、近寄っても逃げようとはしませんでした。個体数は少ないようで、今までにこの一匹しか見つかっていません。
生息地は北海道・本州・九州、成虫の体長は12〜14mm、活動期は6〜7月、成虫の食草はヤナギやタデの葉・幼虫は植物の根を食する。



「オジロアシナガゾウムシ」
蔓性植物の「クズ」があれば、何処でも見られます。個体数は多く、体は白と黒の斑色をしているので見つけ易いのですが、小さいので注視していないと見落とすことが多いのです。尻が白く、太く長い足もっているので「オジロアシナガ」と名づけられたのでしょう。
生息地は本州・四国・九州、成虫の体長は6〜9mm、活動期は5〜8(9)月、成虫の食草はクズの葉・幼虫は茎を食する。



「カツオゾウムシ」
植物の「タデ類」にいることが多いようです。しかし、この種も個体数は少なく、今までにこの一匹しか見つかっていません。体全体は黒褐色に見えますが、茶色の細かい斑点があります。鰹節のような色と体型から、「カツオ」と名づけられたのでしょうか?。体が細いためにカメラのピントが合わせ難く、よい写真になりませんでした。
生息地は日本全土、成虫の体長は10〜12mm、活動期は6〜8月、成虫の食草はタデの葉・幼虫は髄を食する。



「コフキゾウムシ」
蔓性植物の「クズ」にいることが多いようです。個体数は多く、体全体が白っぽく見えますが地色は黒色です。白い鱗粉に覆われているために「コフキ」と名づけられたのでしょう。丸っこい体型で口吻はあまり長くはありません。
生息地は本州・四国・九州・沖縄、成虫の体長は5mm前後、活動期は4〜8(10)月、成虫はクズやハギなどの葉を・幼虫は植物の根を食する。



「シロコブゾウムシ」
10月上旬、農道沿いの「クズ」が生い茂った場所で見つけました。体は灰褐色をしていますが地色は黒色です。やはり鱗粉をつけているので白っぽく見えます。上翅に瘤状の突起があり、「シロコブ」と名づけられました。危険を察知すると草叢に転げ落ちて死んだふりをするようです。
生息地は本州・四国・九州、成虫の体長は13〜17mm、活動期は4〜8(10)月、成虫はクズやフジなどマメ科植物の葉を食する。



「トホシオサゾウムシ」
「オオアオゾウムシ」と同日に、ほぼ同場所で撮影しました。体は赤褐色、胸脇に一対・上翅に合計10個(数は不鮮明)の黒班を持っています。「トホシ」と云う名は上翅の紋の数から名づけられたようです。この種も個体数は少ないようで、今までにこの一匹しか見つかっていません。
生息地は本州・四国・九州、成虫の体長は6〜8mm、活動期は5〜7月、成虫は花の蜜やクヌギの樹液を・幼虫は植物の根を食する。



「ハスジカツオゾウムシ」
夏の始め頃、「オオアオゾウムシ」とは別日に、ほぼ同場所で撮影しました。体は灰褐色、上翅に黒褐色でV字形の模様を数本持っています。「ハスジ」と云う名は上翅の模様が斜になっていることから名づけられたようです。この種も個体数は少ないようで、今までにこの一匹しか見つかっていません。
生息地は本州・四国・九州、成虫の体長は9〜14mm、活動期は6〜8月、成虫はアザミやヨモギの葉を・幼虫は髄を食する。